目次
1. 脱出に成功したはずの同期からの、悲痛なメッセージ

フル美、去年今の職場を一足先に辞めた同期のAくんを覚えてる?

ええ、もちろん。条件の良い会社に決まったって、あんなに喜んでたじゃない。

……さっき彼から連絡があったんだけど、声が完全に死んでたよ。結論から言うと、「今の職場(僕たちの職場)の方がまだマシだった」って泣きつかれたんだ。

えっ? あんなに今の環境を嫌がって脱出したのに?

そうなんだ。転職前、その会社は「残業はほとんどない」と説明していたらしい。でも蓋を開けてみれば、毎日1〜2時間の残業は当たり前。さらに最悪なのは、「1時間程度の残業なら、みんな申請せずに帰る」というサービス残業の暗黙の了解が蔓延していたことなんだ。

残業がないんじゃなくて、「残業代を払わない」っていう意味だったのね……。
2. 今の会社の「マシな部分」を再発見する

彼の話を聞いて、僕も今の環境を冷静に見つめ直してみたんだ。確かに、今の僕の職場は教育制度なんて皆無だし、放置される。自分で全部調べて、お客さんに損をさせないようにプレッシャーと戦う毎日だ。

でも、今の会社は「やった分の残業代」はちゃんと出るわよね。

そうなんだよ。1分単位で全額支給される。これって、実はすごいホワイトな部分だったんだと気づかされた。教育はないけれど、自分から聞きに行けば、渋々でも教えてくれる。同期の転職先は、聞く余裕すらないほど全員が疲弊して、サービス残業という名の「搾取」が常態化している。

今の場所が嫌すぎると、すべてが悪(地獄)に見えるけれど、外の世界(泥沼)と比較することで、守るべき最低限のラインがどこにあるのかが見えてくるわね。

まさにその通り。「教育がない」は自力でカバーできるけれど、「残業代が出ない(時間が盗まれる)」は個人の努力ではどうにもならない。安易に飛び出した彼を待っていたのは、今の僕よりも自由な時間がなく、心が削られる毎日だったんだ。
3. 転職活動は「ノーリスクの筋トレ」として活用する

でも、Aくんもまた転職活動を始めたんでしょう? 2回目となると、ハードルは上がらないかしら。

そこなんだよ。2社、3社と転職を重ねるほど、企業側は「またすぐ辞めるんじゃないか」と警戒する。焦って次の泥沼に飛び込めば、履歴書はどんどん汚れていく。だからこそ、僕は彼に「一度、立ち止まって冷静になれ」と言いたいんだ。

さよ夫も、転職サイトを見たりはしているわよね?

うん。でも僕にとっての転職活動は、会社を辞めるための準備じゃなくて、「ノーリスクの筋トレ」なんだ。

筋トレ?

そう。他社の募集要項を見れば、今の自分の市場価値がわかる。「今のスキルでいくら稼げるのか」「他社の給与水準はどうなのか」。たとえ求人に嘘が混じっていたとしても、複数の会社を見ることで「物差し」が手に入るんだ。今の会社を辞めずに活動している限り、リスクはゼロ。嫌な条件なら、断ればいいだけなんだから。
4. 資産という「断る力」を持って戦場へ行く

Aくんがサービス残業を拒めないのは、そこを辞めたら来月の生活費がなくなるからよね。

その通り。資産がないということは、会社に「NO」と言えないということだ。 もし僕が40歳までに8,000万円の資産を築いていれば、転職活動の場で「その条件ならお断りします。他を探しますので」と胸を張って言える。

資産が「最強の交渉カード」になるわけね。

そう。僕が毎月1日に資産を数え、朝の時間を副業に投じているのは、次に動くときに「運」に人生を預けないためなんだ。同期の失敗は、明日の僕だったかもしれない。彼の苦しみを教訓にして、僕はもっとしたたかに、資産という盾を鍛え上げていくよ。
【さよならフルタイム運営より】
「今の職場が嫌だから、どこでもいいから脱出したい」 その気持ちは痛いほどわかります。僕も毎日、沈没船の中でそう思っています。
しかし、資産がない状態での「逃げの転職」は、目隠しをして新しい船に飛び移るようなギャンブルです。 飛び乗った先が、今以上の泥沼である可能性は十分にあります。
転職活動そのものはノーリスクです。 外の世界を見ることで、今の職場の「意外なマシな点」に気づけるかもしれません。 そして何より、「資産」があるからこそ、僕たちは不当な条件を「断る」ことができます。
2回、3回とカードを切るたびに、あなたの選択肢は減っていきます。 だからこそ、今はこの場所で「脱出のチケット(資産)」を確実に手にしましょう。 焦って泥沼に飛び込む前に、まずは自分の手元に「盾」があるかを確認してみてください。